ミケランジェロの傑作「ダビデ像」。
石を持つ精悍な顔つきの全裸の男性像を一度は見たことがあるのではないでしょうか。
ルネサンス期を代表する作品でもあります。
このダビデは古代イスラエルの王で、羊飼いから王になった伝説上の人物です。
しかし、イスラエルの王ということは、ユダヤ人であるわけなので、ユダヤの風習に従い、生まれてすぐ割礼の儀式(あの部分の先端の皮を剥く儀式)を受けているはずなのに、この像ではなぜか包茎です。
その理由は諸説あり定説はないのですが、一般的にはルネサンスの時代は古代ギリシャ時代を模範としていて、古代ギリシャではユダヤ人の風習である割礼を野蛮な風習と見なしていたとか、自然なままが一番とされていたからだと言われています。
またヨーロッパ人はほとんどが包茎だからという説もあります。
割礼を受けていないことから、実は「ダビデ像」という作品名自体が間違いなのではないかとする説もあるようです。
ちなみにダビデを英語読みするとデビッドになります。
元は羊飼いでしたが、初代イスラエル王サウルに見込まれ、敵対するペリシテ人の巨人戦士ゴリアテを石を投げて倒し名を上げました。
像が石を手に持っているのは、その場面をイメージしたものだからです。
しかし、名声が高まるにつれてサウル王から危険視され、殺されそうにもなりました。
ですが、ダビデはサウル王を許し、後にサウル王が戦死したのを継いでイスラエル王となりました。
エルサレムを攻めて、そこをイスラエルの首都とし、40年間におよぶ統治を行ったと伝えられています。
その子ソロモンとの時代は古代イスラエルの全盛期と言われています。
しかし、決して清廉潔白だったわけでもなく、部下の妻を奪った上、子供を生ませ、夫である将軍を最前線に送って戦死させるという悪どいこともしています。
それは神の怒りに触れ、最初の子は殺されてしまいました。
二番目の子がソロモンです。
ソロモンのもとをシバの女王が訪問し、子を成したという伝説があり、その子供がエチオピアの皇帝につながると言われています。
これが事実なら、エチオピア皇帝は日本の皇室よりも古い歴史を持つことになります。
ただし、1974年に最後の皇帝がクーデターで追放され、今のエチオピアに皇帝はいません。
欧米では、ダビデはトランプのキングのモデルのひとりとされています。
ちなみに他の三人は、ユリウス・カエサル、カール大帝、アレクサンドロス大王です(国によって違うようですが)。
イエス・キリストはダビデの子と呼ばれることがありますが、イスラエル民族における救世主はダビデの子孫という言い伝えがあったからです。
イエス・キリストが絵画や彫刻で腰に布を巻いているのは、反対に彼が割礼を受けている(つまりユダヤ人であること)を認めたくないからだという説もあります。
ちなみに、高須クリニック院長によると、あの部分の先端に皮があるのは、原始時代、人間が裸で獲物を追いかけ、森の中を走るときなど、大事な部分の先端が尖った木などによって、傷つくことがないよう守るためだったとのことです。