水滸伝について
中国四大奇書のひとつ「水滸伝」。
その実質的主人公は、宋江という108人の強者たちを統べる頭領です。
108人の個性豊かなメンバーが、賄賂を要求する役人や、腐敗した坊主、威張りくさった大金持ちを叩きのめす姿が痛快として人気があります。
元々、水滸伝という小説は、宋江という実在した人物が36人の頭領と「梁山泊」という天然の要塞にこもり、国を乱したという事実から作られています。
そこに中国各地の伝説やら豪傑のエピソードやらが取り入れられ、話が大きくなったと言われています。
※以下の記事に詳しく書かせてもらっています。

物語の後半、宋江たち梁山泊のメンバーは朝廷に帰順し、中国南部で反乱を起こしたマニ教徒の方臘(ほうろう)という人物を退治しに行きます。
結果、なんとか退治するものの、仲間たちの大半は戦死し、梁山泊は崩壊します。
宋江という名前は珍しくない?
ところで、このエピソードは、当時の記録に宋江という将軍が方臘退治に参加しているという事実から作られたのではないかと言われています。
しかし、歴史書に残っている梁山泊の宋江と、方臘退治に向かった宋江が同一人物であるという確証はありません。
宮崎市定博士は「梁山泊の宋江と方臘を退治しに行った宋江は別人ではないか?」という宋江二人説を唱えています。
宋江という名前自体は中国ではそう珍しくない名前だそうです。
スピンオフ作品がある
先述したとおり、梁山泊のメンバーたちは、方臘との戦いで三分の二ほどが戦死した挙げ句、朝廷に巣食う悪人たちは失脚することもありませんでした。
すっきりしない終わり方をすることから、後の時代に「水滸後伝」というスピンオフ作品が作られています。
水滸後伝では、生き残ったメンバーやその縁者たちが、南の島を占領し、そこを拠点に活躍する話となっています。
作中、象に乗っている日本の「関白」率いる軍と戦うシーンもあります。
この作品では、悪人たちがきっちりと成敗されて、大団円で終わっています。