不朽の名作「フランダースの犬」。
最終回、吹雪が舞う寒いクリスマス・イブの晩、大聖堂の絵の前に倒れるネロと側に横たわる愛犬パトラッシュ。
すると、絵を隠していたカーテンが風で偶然めくれ、さらには雲間から月光がさし、ずっと見たかったけれどお金がなくて見られなかった絵が見えるという感動を呼ぶシーンがあります。
直後、ネロとパトラッシュは永遠の眠りにつき天に召されます。
この時、少年ネロが見た絵は何かというと、ルーベンスの大作「キリストの降架」です。
処刑されたあとのキリストが十字架から降ろされるところを描いている大作です。
なお、場所はノートルダム大聖堂ですが、パリにある大聖堂ではなく、ベルギーのアントワープ市にある同名の大聖堂です。
ノートルダムという名前は聖母マリアのことを意味しており、世界各地に存在しています。
絵についてはこちらから見られます。 ↓
日本ではアニメで特に有名なこの作品ですが、本国ベルギーではほとんど知られていません。
作者のウイーダ(本名でラメーと表記される場合も)がイギリス出身だからとも、話が暗すぎるからという説があります。
日本では明治時代にすでに翻訳して出版されています。
その際、ネロはきよし、パトラッシュはブチという名前に変えられていた経緯があります。
90年代に実写映画化されたとき、ハッピーエンドとバッドエンドの二通りが用意されていて、アメリカではハッピーエンドが、ヨーロッパと日本ではバッドエンドが放映されました。
アメリカ版ではネロとパトラッシュが息を吹き返し、生き別れていた父と再会します。
敬虔なキリスト教徒から見ると、日本人にはバッドエンドに見えるエンディングも、神の元に天使に囲まれて昇天するのだから、幸せになれたという解釈ができるとも言われています。
なぜ、ネロとパトラッシュが凍死する羽目になったのかというと、祖父が死んだこと、火事の放火犯と疑われたこと、牛乳運搬の仕事を街からやって来た業者に奪われたため、家賃が払えなくなり、家を追い出されたからでした。
ネロは絵のコンクールに応募していたのですが、落選して希望もなくしていました(しかし、翌日、とある画家がネロの絵に注目して会いに行こうとしていました)。
貧しくても、落としものの財布を盗まず届けたことから、蔑視していた人物(ヒロインアロアの父)から見直され、翌日身元を引き受けようとされていたところでもありました。
とても残念な結果に見えますが、満足して天に召されたわけですし、きっと天国にたどり着けたのだと思いたいですね。
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